カメラ散歩

☆神宮外苑の銀杏並木




銀杏並木

(以下標示板より)

○いちょう(銀杏・公孫樹)
 銀杏は、現存する最も古い全世界の植物の一つです。地質学上、古生代の末期(一億五千万年前、巨大な恐竜が生息していた時代)に地球上にひろく分布し、生育していた樹種です。
したがって、その化石の発見は極地より南北両半球・中国・日本にまで及んでおります。
氷河期の到来により、多くの地方では、銀杏樹は絶滅しましたが、温暖な気候を保ち得た中国では死滅を免れ、生育を続けて現在に至っております。

日本の銀杏は、この中国より渡来した樹種で、現在では街路樹・防火樹・庭木としてひろく植えられており、「東京都の木」ともなっております。 現在では東南アジア以外ではほとんど植えられておりません。
○並木の総本数は146本(雄木44本・雌木102本)

四並列の銀杏の大木が作り出した、世界に誇り得る銀杏並木の景観。これを通し、正面に白亜の絵画館を望む人口自然美の素晴らしさ。若菜・青葉・黄葉・裸木と四季折々の美しさ。長年にわたる管理、手入れの良さが美事な樹形を作り出して降ります。

 この明治神宮外苑は大正15年(1926)10月22日の創建でありますが、その苑地造成に当り、青山通り正面からの直線主要道路は、左右歩道の両側に植樹帯を取り、銀杏樹をもって四条の並木を造成することになりました。
 
 これは、銀杏樹が、この世に芽生えたのは、造園界の秦斗・折下吉延博士(外苑造成時の庭園主任技師・昭和41年86歳で没)が、新宿御苑に奉職中の明治41年(1908)新宿御苑在来木の、銀杏樹から銀杏を採集し、これを種子として代々木の宮内省南豊島御料地内(現在の明治神宮内苑)の苗圃(びょうほ)に蒔いたことによります。
その後、苗圃の木々はすくすくと成長し、その数1600本になりました。


 外苑造園に当たり、この銀杏樹を採用することとなり、既に樹高6メートル内外に成長していた、これら多数の中より候補樹を選抜し、更に並木として適格になるよう、年々樹形を整えてきたものを、大正12年(1923)に植栽したものです。

直路四条の並木と、途中西折して女子学習院正門(現秩父宮ラグビー場)に至る二条の並木も、同時に植えられております。最高24メートル・目通り周り1メートル80センチのものを、樹高順に青山口より降り勾配に従って植えられております。絵画館を眺む見事な遠近法の活用です。



この銀杏が、苗圃で芽生えてより実に80余年、外苑に植栽されてより早や70年、このように雄大に・美事な樹形を保ちつつ成長しております。銀杏樹は植生の環境、手入れが適当であれば、その成長量がいかに偉大であるかを、如実に物語っております。

樹木の運命は、その立地の適不適によって決められるものでしょうが、よき所で、よく育てられ、よき場所に植えられた樹木ほど幸運なものはないでしょう。同じ時期に、同じ苗圃で育てられてきた、これら多くの兄弟木は、世にもまれなる幸福な樹木と言えましょう。
今後幾百年、これら兄弟木の銀杏は生長をつづけて老大成し、その偉大なる雄姿を発揮し、外苑々地と融和し、我々に美事な人工自然美を楽しませてくれることでしょう。

平成御大礼の日 之を建つ

平成2年11月12日   明治神宮外苑




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